街には人工光があふれ、夜空が照らされ、星が見えにくくなってきています。
また、無駄・過剰な人工光は、莫大なエネルギーの浪費、生態系への悪影響、人々の生活・健康への悪影響をも引き起こしています。
この 光害(ひかりがい) の問題を啓発する活動に、あなたも参加してみませんか。
GLOBE at Night(グローブ・アット・ナイト、GaN)は市民参加型の、夜空の明るさ世界同時観察キャンペーンです。
どなたでも簡単に参加できます。決められた日時に屋外に出て夜空を眺め、星の見え方をインターネットで報告するだけ。
毎年、世界中から数多くの観察報告が寄せられます。ぜひあなたも参加して、光害の問題を考えてみませんか。
そして、世界中の人と、美しい星空・地球環境への思いを共有しましょう!
GaNは、アメリカ国立光学天文台が2006年にアリゾナ州などで始めた取組で、多くの市民や教育関係者の支持を得て年々規模が拡大していき、2009年からは世界天文年の主要企画の一つである Dark Skies Awareness (DSA)(国際天文学連合、ユネスコ、アメリカ国立光学天文台、国際ダークスカイ協会などの共同事業)の一部として、世界的に展開されました(下表)。DSAでは、私たちが利用している大量の人工照明が引き起こしている 光害(ひかりがい) という環境問題について、世界中の人に認識してもらい、美しい夜空と地球環境を守るためのさまざまな取組が行われました。その活動は、現在でもIAU100周年企画の中の Dark Skies for All として継続されています。
光害とは、過剰または不適切に設置された人工照明(街灯、看板、店舗装飾など)が周辺に及ぼすさまざまな悪影響のことです。たとえば夜空の方向に漏れた光は、空と星のコントラストを下げ、星が見えにくくなります。町が大きく発展するにつれ、人工照明の数も増えます。大都市の中心部の夜空には、ほんのわずかな数の、最も明るい星しか見ることができません。
屋外照明は、安全性、広告宣伝、スポーツイベントの実施など、さまざまな目的のために設置されています。私たちの生活に不可欠なものですが、重要なことは、屋外照明の中には器具の形状やその設置方法などにより、光害に配慮した質の良い照明と、光害を引き起こしている質の悪い照明がある、ということです。質の良い照明は、目的外の場所に漏れる光の量が最小限に抑えられているのに対し、質の悪い照明は、夜空や周囲に光が漏れ、予期せぬ悪影響を及ぼしています。
光害は、星が見えにくくなる以外にも、私たちの生活や生態系にさまざまな悪影響を与えます。以下はその例です。
・電気エネルギーの浪費、ひいては地球温暖化
・運転者・歩行者への眩しさによる安全性の低下(特に高齢者への影響)
・窓からの侵入光による居住者への妨害
・体内でのメラトニン生成の抑制、ひいては様々な病気の誘発
・夜行性生物の生活圏消失
・昆虫などの分布の変化、ひいては生態系のバランスの崩壊
・特に渡り鳥、ウミガメ、蛾、ホタルなどへの深刻な影響
・植物や農作物の生育不良
夜間の照明環境を良くしようと活動している人々は、たったひとつの必要な明かりも消すことを望んではいません。質の悪い照明がはびこっている現状と、それによる悪影響を一般の方に認識してもらい、人間・生態系・地球のすべてにとってやさしい照明環境を構築することを望んでいるのです。